今回は、世界中に食の有名ブランドを多数所有している『クラフト・ハインツ』をご紹介します。
クラフト・ハインツは、アメリカ合衆国とカナダを中心に、世界各地で展開する食品メーカーです。日本でもおなじみの多数のブランドを所有しています。世界的に有名なブランドと製品で、世界中の消費者に高品質の製品を提供し、食品産業において重要な地位を占めています。
企業情報<Enterprise>
- 名称 クラフト・ハインツ・カンパニー (The Kraft Heinz Company)
- 本社 イリノイ州シカゴとペンシルバニア州ピッツバーグ
- 設立 2015年
- 業種 食品加工業
- 公式ウェブサイト The Kraft Heinz Company
- ティッカー KHC
- セクター 一般消費財セクター
- 市場 ナスダック証券取引所(NASDAQ)
主要製品としては、調味料、スナック、チーズ、飲料、コーヒー、冷凍食品、ジュース、ベーキング製品などがあります。
歴史<History>
クラフト・ハインツ (Kraft Heinz) は、ハインツとクラフト・フーズが合併して設立された会社です。
2社の合併は、ハインツの株式を所有していたバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルの主導によって実現しました。
- 1869年 ヘンリー・ジョン・ハインツによってハインツ設立
- 1903年 ジェームス・L・クラフトによってクラフト・フーズが設立
- 2015年 ハインツとクラフト・フーズが合併してクラフト・ハインツが設立
合併により誕生したクラフト・ハインツは世界5位、アメリカで3位の食品メーカーとしての地位を確立しました。
買収した企業・金融機関
クラフトハインツは、多くのM&Aを実施しており、その中には以下のようなものがあります。
- 2017年7月:グルメフード企業のSpectrum BrandsのユニットであるAinsworth Pet Nutritionを買収。
- 2018年5月:日本のスナック製造会社、グリコのチーズ事業を買収。
- 2019年5月:フランスのダイレクトマーケティング企業であるSage Automotiveを買収。
- 2019年6月:スペインのビスケットメーカーであるゴヤマを買収。
M&Aによって製品やブランドのラインナップを獲得し、市場シェアを拡大してきました。
グリコのチーズ事業のみを買収しています。チーズに対する専門知識は特別ランクです。
製品<Product>
クラフト・ハインツは、多くの製品を取り扱っています。日本でもお馴染みの製品が多数あります。
- クラフト・マカロニ&チーズ:クリーミーなマカロニに、濃厚なチーズソースをかけたアメリカの人気料理。
- ハインツ・ケチャップ:トマトをベースにした調味料。
- オスカー・マイヤー:ホットドッグやベーコンなど、豚肉製品を中心に扱うブランド。
- クラフト・ペイント:食品用のカラーペースト。クッキーやケーキのデコレーションなどに使われる。
- クラフト・デザート:チーズケーキやプリンなど、スイーツ製品を扱うブランド。
- ゲイトレード:スポーツドリンクの代表的なブランド。
- ハインツ・ビーンズ:トマトソースに浸した豆を缶詰にしたもの。イギリスで特に人気がある。
- ボルシチ:ロシアやウクライナで広く食べられる野菜スープの素。
- ミラクルホイップ:低脂肪でクリーミーなマヨネーズのような調味料。
- マクドナルドの特製ソース:世界中のマクドナルドで提供される、クラフト・ハインツが製造する特製ソース。
- オレオ:ココアクッキーにクリームがサンドされている世界中で愛されるクッキー。
- マックスウェルハウス:アメリカの代表的なコーヒーブランド。
- パルメザンチーズ:パスタやピザなどにかける手軽な粉末チーズ。
- ミラクルホイップ:サンドイッチやサラダなどに使われる、クリーミーなドレッシング。
他にもダイエットドリンクや犬用のおやつなど、沢山の製品を多くの消費者に提供しています。
配当<Dividend>
クラフトハインツは、株主に対して配当を行っています。
- 配当回数 年4回
- 配当確定月 2,5,7,10月
- 配当支払月 3,6,8,11月
2019年に減配をし、その後$0.4。年間$1.6配当されています。
配当利回りは、3.98%(2023年5月16日)
強味<Advantage>
クラフト・ハインツの強味は、以下が挙げられます。
- 豊富なブランド
多くのブランドを所有しており、多くの消費者が愛着を持っています。オレオやリッツなど日本でも定番ブランドとして、広く認知されています。 - 多様な製品ラインナップ
乳製品や調味料、精肉加工品、コーヒーや飲料水など、豊富な製品をラインナップしており、幅広い年齢層からも支持されています。 - グローバル展開
世界中で事業を展開しており、グローバル市場での強みも持っています。 - 需要の変化に対応
ヘルシー志向の高まりに伴って、同社は低脂肪、低塩分、低糖分の製品を開発し、市場に投入しています。
伝統料理からファストフード、ダイエット製品やヘルシー食品など世界中に提供しています。
課題<Subject>
クラフト・ハインツが抱える課題としては、以下のようなものが考えられます。
- 食品業界の競争が激化
食品業界は常に競争が激しく、新興企業や既存の競合他社との戦いが続いています。市場シェアを維持するためには、製品の改良や新しい製品の開発に注力しなければなりません。 - 食品の健康面への注目
消費者は健康に対する意識が高まっており、低脂肪、低塩分、低糖分の製品やオーガニック製品の需要が増えています。健康志向の消費者に対応するために、製品の改良や開発を行う必要があります。 - M&Aによる負債の増加
過去に多くのM&Aを行っており、負債が膨らんでいます。財務面での課題解決には、負債の削減やキャッシュフローの改善に注力する必要があります。 - コスト削減の必要性
小麦の価格高騰など材料費が嵩む傾向にあり、コスト削減にも注力する必要があります。製品の価格競争力を維持しながら品質の低下につながらないよう、適切なバランスを見つける必要があります。
世界的な小麦の高騰は大きな課題ですが、この問題は競合も同じです。食品市場全体の問題とも言えます。
競合<Competition>
クラフトハインツは、食品産業において、多くの競合企業が存在しています。主な競合企業としては、以下のような企業が挙げられます。
- ネスレ
- キャンベル・スープ・カンパニー
- コカ・コーラ
これらの企業はクラフトハインツと同様に、多岐にわたるブランドを持ち、食品や飲料の製造・販売において国際的な市場で展開しています。
2018年からの5年のチャートを見ると、競合3社が株価を上げているのに対して、クラフトハインツは大幅に値が下がっています。
分析<Analysis>
クラフトハインツは2019年に会計上の不正行為が発覚し、その後の調査によって過去数年間にわたり収益を不正に膨らませるために誤った会計処理を行っていた事実がわかりました。
この問題は、企業の信頼性と財務報告の正確性に関わる重大な問題となり、株価にも影響しました。
その後も業績に停滞しています。販売減少の原因として、競争の激化、製品の価格上昇。さらに、生産コストの増加、そして不良在庫の処分に伴う費用などが原因としています。
これらの問題を改善するために、クラフトハインツは多くの取り組みを進めています。
自社製品の品質や安全性に対する取り組みに力を入れています。具体的には、以下のような取り組みを行っています。
品質管理システムの強化として国際的な品質管理システムであるHACCP(ハサップ)を採用しています。HACCPは、食品の生産・流通過程において起こりうる危険要因を予測し、それを事前に防止するためのシステムです。
自社製品の品質評価に力を入れています。自社内で行う評価に加え、独立機関による第三者評価を受けることもあります。
消費者のニーズに合わせた、低カロリーや無添加の商品を開発。製品の包装材料や原材料の調達において、環境への負荷を考慮した取り組みを行っています。
また、社会貢献活動にも力を入れており、地域社会の支援や食品ロスの削減などに取り組んでいます。
2017年をピークに大きく下落し、それ以降回復しないまま、低迷しています。
買うか買わないか<Buy>
2015年、大手2社による合併で華々しく誕生したクラフトハインツですが、2年後には業績が下がってきて、その事実を隠そうと会計上の不正行為を行い、発覚し、さらに信用を失いました。
そんなクラフトハインツですが、世界的に多くのブランドを持っている事と、消費者から愛着を持たれ支持されている事で、少しづつではありますが2019年以降回復しているように思います。
不祥事を起こした大企業というが、実は結構好きな銘柄です。
不祥事を起こした事で、本当に健全な経営を目指そうと努力している企業は、不祥事を起こしにくいはずです。特に大企業であれば、同じような過ちはおかさない仕組みも出来るはずです。
世界の消費者から愛着を持たれているというのも、有利な条件です。例えばケチャップにしても、購入の度にどれにしようか考えず、毎度同じメーカーの物を購入してしまうものだからです。
クラフトハインツは株価の上昇はないかもしれませんが、配当している一般消費財セクターとして購入したい!銘柄です。長期的に少しずつでも株価が上がるチャンスもあると思っています。3年、5年という長期期間で保有しようと思います。
マクドナルドへ特製ソースを提供しているという事は、マクドナルドの収益が上がれば喜ばしいという事ですね!
銘柄分析は出来ないけれど、自分なりの分析と直感で長く保有出来る銘柄を見つけては買いためています。最後まで読んでくださって、ありがとうございました!