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17世紀から続く老舗銀行『バークレイズ』。金利政策で揺れる金融市場のリーダーとしての存在感は?

銀行

今回は、イギリスの老舗銀行「バークレイズ」をご紹介します。

バークレイズは、企業や個人向けの金融商品・サービスを提供しており、特に投資銀行業務においては、世界的なトップクラスの地位を占めています。長年にわたって世界的に信頼されている大手銀行の一つであり、金融サービス業界でのリーダー的存在として知られています。

企業情報<Enterprise>

  • 名称                          バークレイズ Barclays PLC
  • 本社                          イギリス ロンドン市チャーチル
  • 設立                         1690年
  • 業種                      銀行業
  • 公式ウェブサイト     Barclays
  • ティッカー                  BCS
  • セクター                     金融セクター
  • 市場                          ニューヨーク証券取引所(NYSE)

創立が1690年。333年の歴史がある世界屈指のグローバル金融機関です。

歴史<History>

バークレイズの歴史は非常に古く、17世紀1690年まで遡ります。バークレイズはロンドン発展と共に歴史を歩んできました。

  • 17世紀
    1690年ロンドン市内でJohn FreameとThomas Gouldによって創業。
    当初は金貸し業を営んでいましたが、その後、銀行業務に転換。
  • 19世紀
    銀行業務の拡大に力を入れ、海外に進出。
    1856年 エジプトで最初の支店を開設。アフリカやアジアでも支店網を拡張。
    1902年 ニューヨークに支店を開設。
  • 20世紀
    投資銀行業務にも進出。イギリス国内外で大きな成果を挙げる。
    1986年には、バークレイズ・キャピタル(Barclays Capital)を設立。
    投資銀行業務において世界的なトップクラスの地位を占める。
  • 2000年代
    アメリカやヨーロッパの金融機関を次々に買収し、世界的な金融グループに成長。
    2008年のリーマン・ショックで深刻な財務危機に陥る。

買収した企業・金融機関

19世紀に海外進出を果たし、各国に支店を開設しました。2000年以降は多くの金融機関やその部門を買収し、バークレイズは世界有数の金融グループとしての地位を確立してきました。以下が買収の歴史です。

  1. ABNアムロ (2007年)
  2. リーマン・ブラザーズ投資銀行部門 (2008年)
  3. モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの投資銀行部門 (2008年)
  4. イング・グループの金融機関 (2009年)
  5. ニューヨークのウールワースビルディング (2012年)
  6. バークレイズ・アフリカ・グループの残りの51% (2013年)
  7. バンク・オブ・アメリカの米国消費者向けカード事業 (2015年)
  8. インベストコープ・バンク (2015年)
  9. ドイツのNorddeutsche Landesbankの投資銀行部門 (2016年)
  10. オランダのフィンテック企業、フォンダツ (2018年)

大手金融会社の一部分を買収し、バークレイズは多岐にわたるビジネスプランを設けてきました。

バークレイズの黒歴史

バークレイズは、過去にいくつかの問題を抱えてきました。2000年以降の問題を以下に挙げます。

  1. LIBOR操作問題(2012年)
    LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の操作問題に関与したことが発覚し、多額の罰金を課せられました。
  2. カタールからの資金調達問題(2017年)
    カタール政府からの資金調達に関与して、米国当局から捜査を受け、株価が下落しました。
  3. パーソナルデータ漏洩問題(2018年)
    バークレイズの顧客データが漏洩し、多数の顧客の個人情報が流出するという問題が発生しました。
  4. 資金洗浄防止体制の不備(2018年)
    バークレイズは資金洗浄防止体制の不備により、英国の金融監督機関から罰金を課せられました。

これらの問題により、バークレイズの評判や信頼性に影響が出ることとなりました。

配当<Dividend>

バークレイズは、株主に対して配当を行っています。ただし、バークレイズなどの金融機関には、金融規制によって配当を制限される場合があります。

  • 配当回数  年2回
  • 配当確定月 3,8月
  • 配当支払月 4,10月

2009年から2019年までは年4回の配当を行っていました。しかし、2020年の配当は1回。2021年以降は年2回配当されています。

増配したり、減配したり、配当金額は安定していません。しかしそれだけ正直に利益が出たら還元するスタイルとも思えます。

強味<Advantage>

バークレイズの強味としては、以下のような点が挙げられます。

  1. グローバルな展開
    バークレイズは世界中に拠点を持ち、多岐にわたるビジネスを展開しています。このグローバルなプレゼンスを活かし、多様な顧客のニーズに応えることができます。
  2. 投資銀行業務の強さ
    バークレイズは、投資銀行業務においても世界的なトップクラスの実績を誇っています。特にM&A(合併・買収)や資本市場においては、高い専門性とネットワークを持っており、顧客にとっての高い価値を提供できます。
  3. デジタル技術の活用
    バークレイズはデジタル技術の活用にも力を入れており、顧客に対してオンラインバンキングやモバイルアプリなど、多様なデジタルサービスを提供しています。
  4. 持続可能性への取り組み
    バークレイズは、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みに力を入れており、持続可能性への貢献を目指しています。二酸化炭素排出量の削減や再生可能エネルギーへの投資などの取り組みを行っています。

課題<Subject>

バークレイズが直面している課題としては、以下のような点が挙げられます。

  1. 収益性の低下
    バークレイズは、競争が激化する金融業界において、収益性の低下に直面しています。特に低金利環境下での融資利ざやの縮小や、顧客ニーズの変化に対応するための投資費用の増大などが収益性低下の要因となっています。
  2. コンプライアンスの強化
    金融業界におけるコンプライアンスの強化は、各国の規制当局によって進められています。バークレイズにおいても、マネーロンダリング防止や個人情報の保護などに関するコンプライアンス要件が厳しくなっており、遵守に関する負荷が増大しています。
  3. デジタル技術の進化
    バークレイズはデジタル技術の活用に力を入れていますが、同時に競合他社もデジタル化に注力しています。特にフィンテック企業の台頭により顧客のデジタルニーズが高まっているため、より先進的なデジタルサービスを提供する必要があります。
  4. 持続可能性への対応
    バークレイズは、持続可能性に関する取り組みを進めていますが、これまで以上に社会・環境への貢献が求められる時代になっています。特に気候変動への対応や社会的課題の解決に向けた取り組みが求められており、これらに対応するための投資や戦略が必要となっています。

過去の失敗を経て、課題、特にコンプライアンスについては真摯に取り組んでいると思いたい。

競合<Competition>

バークレイズの主な競合相手、2社金融機関です。

  1. JPモルガン・チェース(JPM)
    アメリカ合衆国に本拠を置くJPモルガン・チェースは、世界最大の金融機関の1つであり、バークレイズと同様にグローバルな金融サービスを提供しています。特に投資銀行業務においては、バークレイズと競合することが多いとされています。
  2. ゴールドマン・サックス(GS)
    アメリカ合衆国に本拠を置くゴールドマン・サックスは、投資銀行業務に強みを持つ金融機関であり、バークレイズと同様に様々な金融サービスを提供しています。

この2社は、バークレイズと同様にグローバルに展開し、多様な金融サービスを提供しています。他にも多数の競合相手がいる金融市場は年々競争が激化しています。

2018年からの5年間で、GSは約37%、JPMは約22%成長しています。バークレイズはというと、約ー31%とマイナス成長でした。

JPMやGSも投資銀行業務に力を入れています。これからはやはり預金より投資が強さを発揮しますね。

分析<Analysis>

バークレイズは、COVID-19の流行により金融市場が不安定化した2020年において収益性が低下しましたが、2021年には業績が回復し収益性も改善されています。

しかし、競争が激化する金融業界において、収益性の向上には依然として課題が残されています。特に低金利環境下での融資利ざやの縮小が収益性低下の要因となっています。

そこで強味となるのが、投資銀行業務の強さです。本来の銀行業務だけでなく、投資銀行としての業務で低金利環境下で補っています。それ以外にも多様化された収益源を持っている事で全体的な収益面をカバーしてます。

また、金融サービスにおいてもオンラインバンキングやモバイルアプリなどのデジタルニーズが高まる中、早期からデジタル技術への取り組みを行っていた事もあり、顧客のデジタルニーズにも対応することが出来ています。ただ、デジタル技術においては今後益々要望が高まる事が予想されるので、引き続き投資していく必要があります。

バークレイズは業界トップクラスの信用格付けを持っており、安定した財務基盤を持つ銀行として世界的に認められていて、金融サービス業界のリーダーとしての地位を確立しています。

過去の不祥事から学び、今後も社会的責任を果たし、顧客や投資家からの信頼を維持するための取り組みを続けることが求められています。

リーマンショック前までは右肩上がり。リーマンショックで大打撃を受けました。

COVID-19の流行で、大幅下落。一年後には回復しました。

2022年1月以降、停滞気味に見えますが、全体的には一定値で安定しているようにも思えます。

買うか買わないか<Buy>

2023年3月10日、シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻しました。2008年のリーマンショック時のように、次々とドミノ倒しのような破綻現象が起きる事を予測し、金融市場は一斉に株価を下げました。

しかし、今回は政府の対応も素早く金融機関も踏ん張りを見せ、早々に収束しそうな気配となっています。

一時大幅に下落した金融市場ですが、少しずつ回復へと転換しています。株価が下がり、完全に値を戻す前の金融市場は買いのタイミングではないでしょうか?

では、金融市場のどんな銀行に投資するか?

バークレイズは長い長い歴史を持っています。その長い歴史の中で多くの問題にもぶつかってきました。不況下での舵取りや不祥事の対応など、企業として沢山の危機を乗り越えてきています。

シリコンバレーバンクの破綻でもさほど影響を受けていないようですし、企業としての安定感を感じます。

株価が戻る前に購入予定です!

そこまで高額でない株価で、投資家に配当しているグローバル銀行。しかも高配当! 個人的にはかなり高感度の高い銘柄です。

銘柄分析は出来ないけれど、自分なりの分析と直感で長く保有出来る銘柄を見つけては買いためています。最後まで読んでくださって、ありがとうございました!

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